「単峰性正規分布交叉UNDXを用いた実数値GAによる関数最適化」他2本

今日読んだ論文3本のまとめです。

「単峰性正規分布交叉UNDXを用いた実数値GAによる関数最適化」
概要:
子を生成するための方法の改良

子を生成する手法として、BLX-αが有力だった。BLX-αでは、親の遺伝子群からランダムに2つ選択し、2つの遺伝子を取り囲む超立方体から子をランダムサンプリングする。
しかし、入力変数間に強い依存性がある場合はうまく行かないことがわかっている。
そこで、超直方体ではなく親の3遺伝子から正規分布を推定し、それを元に乱数を生成する手法を提案した。
実験的に、変数間に強い依存性がある場合に有効であると確認された。


「Saving MGG: 実数値GA/MGGにおける適応度評価回数の削減」
概要:
世代交代モデルの改良

MGGは、遺伝子の多様性を保ったまま探索するための、世代交代モデルである。
子の生成には、UNDXを拡張したUNDX-mやSPXを用いると、変数間の強い依存がある場合でも、変数におけるスケールがかなり異なる場合でも有効である。
しかし、遺伝子の多様性を維持するために、多くの子供を生成し、より多くの遺伝子群を保持する必要がある。そのため、適応度の計算回数が膨大になってしまう。
そのため、適応度を用いた重み付きサンプリングで正規分布を推定し、その分布でよさそうな子を特定する(正規分布の中央ほど良い個体)。それで良さそうな子だけ適応度を計算することで適応度計算の回数を減らす。
実験的に、適応度計算が減らせることを確認している。

この論文に関しては、いくつか疑問があったので列挙すると、

    1. MGGでは適応度の多様性を重視していたのに、適応度で重み付きサンプリングしたら多様性が無くなる気がする。
    2. 生成した子と、よさそうな子の比がさほど大きくないので、計算回数を減らす効果が薄い気がする。
    3. そもそも、適応度の計算ってコスト高いのだろうか。


「GAの探索におけるUV現象とUV構造仮説」
概要:
GAの働きを説明する仮説

GAで探索する関数の中には、大雑把に関数の形を見ると、大きな谷がいくつか存在するような形が存在し(大域的多峰)、各谷底には局所解or最適解がある。このような大域的多峰な関数でGAが上手く働かない現象を、UV現象と名付け、3つのモデルに分類している。

    1. 大域的最適解を持つ谷が、多数の細かい局所最適解をもつ
    2. 局所最適解を持つ谷が、探索の初期段階で最適化しやすい
    3. 局所最適解を持つ谷が、大域的最適解を持つ谷と比べて非常に広い

実験的に、最適解を求めるのが難しい原因を、この3つのモデルで説明している。